物流マガジン

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2018/12/01
【連載:倉庫業界に地殻変動を起こした「物流不動産」第1回】外資系ディベロッパーの進出

第1回 外資系ディベロッパーの進出

物流業界が世間から注目を浴びるのは震災や大雨、台風災害など、
サプライチェーンの寸断によるライフラインの危機が押し迫った時に限られていた。
近年ではEC市場拡大によるヤマト運輸の「宅配クライシス」問題も同様だが、
物流業界に激震が走った。


しかし、21世紀初頭、物流施設事情に大きな転換期が訪れたことはあまり知られていない。
外資系不動産開発業者(ディベロッパー)による大型物流施設が
2002年に東京・新木場で開発、以降国内の主要都市に林立されている。


大型物流施設で何が変わり、
庫内作業をどのように変えていったのだろうか。



■日本の狭い国土に最適な施設
物流施設専門の米系ディベロッパー・プロロジスが日本に進出してきたのは1999年。
第一号案件として、東京都江東区新木場にDHL専用の
BTS(Build To Suit)の「プロロジスパーク新木場」(名称は当時)の
開発に着手した。2002年に竣工後、
日本通運、松下電機専用の物流施設もBTSで開発以来、
関西地方にもマーケットを拡大していった。


国内の従来型倉庫との違いは、大型で複数階、
そしてランプウェイがあることだ。

日本の倉庫に複数階はあるが、
物流に特化した建屋の使い勝手は格段に高い。
欧米での倉庫は平屋建てが基本となるが、
当時プロロジスの代表だったスチュアート・ギブソン氏は、
「複数階の大型施設を建てるメリットがあるのか、
と本社からの反対意見が多かった」と当時を述懐する。


プロロジスは、国内で不動産の理論をもとに施設開発を進めた。
容積率を最大限活かした、背の高い建屋複数階の確保を行った。

許可された容積率いっぱいまで建てることで、
複数フロアの持つ施設ができあがる。

大手テナントの一棟借りに対応するだけでなく、
フロアによる倉庫面積の区割りも可能となる魅力的な空間だった。
同時に、日本の狭い国土で最適な物流シーンとなることを
スチュアート氏は先見の明で予測していた。

余談だが、大型物流施設の柱間隔は現在、
11mが基本となるが、プロロジスパーク新木場では25mのスパンとなっており、
建築コストも嵩んだことも本社が二の足を踏んだ背景にあるという。


■国内業者と大きく異なる建築手法
さて、日本の倉庫業者はプロロジスの動きを対岸の火事とみていた。
プロロジスの動きをいち早く察知した日経新聞は彼らを「黒船」と呼称したが、
倉庫業者にはどこ吹く風という様子だった。

倉庫建築の考え方に大きな乖離が見られたからだ。

日本の倉庫を新設する際、荷主から請け負う貨物量をもとに、

自社倉庫の保管キャパを換算していた。
自社に見合うだけの保管スペースさえ確保できればいい、という考え方だ。
また、自社の資産と金融機関からの資金調達による「間接金融」を採用し、
金利、償却、収支をもとに倉庫規模は自ずと決定していた。


一方で外資系ディベロッパーの施設開発スキームは、
日本の倉庫会社と全く異なっていた。

外国の投資家から集めた資金を基に、
企業年金も活用するなど、莫大な資金をもとに開発した。
施設完成後の施設の賃料収入を収受するビジネスモデルのため、考え方が全く異なる。
証券化された施設は「投資信託」として投資家に分配するため、
物流施設は金融商品となっていった。


■年間5000万円のコスト削減も
国内外の大手ディベロッパーも参入、
急ピッチで物流不動産市場が形成されてきた。
リーマン・ショックで開発の鳴りを潜めていた時期も見られたが、
国内企業では大和ハウス工業、
オリックス、野村不動産など、
物流に実績を持つ企業はもちろん、
異業種からの参入が相次いだ。現在では湾岸部、
圏央道沿線といった首都圏から、関西圏、中京圏など、主要都市での開発競争が激化。
開発用地の確保が困難となっていった。

大型物流施設のメリットのひとつは「ランプウェイ」設置による
高層階へのアクセスが容易となることだ。

通常は1階のバースでトラックが横付けされ入庫された荷物の
上下階アクセスは垂直搬送機かエレベータを用いて、運搬されていた。
これがランプウェイにより、
トラックで高層階のバースまで直接乗り入れでき利便性は大幅に向上する。

上層階でも高額な賃料の設定ができる所以だ。

マンションなど住居の家賃の場合、
上層階になるに従って高くなるが、倉庫はその逆だった。

1階以外のフロアの賃料は下がるものの、
使い勝手が悪かった。

しかし、大型物流施設では、
1階も上層階も賃料には大きく隔たりは見られない。
また、広大なフロアによる使い勝手の良さも大きい。
点在していた複数倉庫から拠点集約をすることで、
荷物の拠点移動する横持がなくなり、保管効率も向上する。

大型物流施設はモノを保管する、
倉庫に求められてきた機能だけではなく、
荷札やシール貼りなどの流通加工や
検品、仕分け、返品された荷物の点検・再生などの流通加工も行われるようになった。
広大なフロアで荷物が集約することで、管理はしやすくなり、
作業面ではコンベヤなどを介して自動搬送することができる。
これによりリードタイムが大幅に短縮した。

物流コスト面でも大きなメリットがある。
イーソーコが試算した試算によると、
従来型倉庫と大型物流施設を同じ面積1万9300m2(5840坪)で賃貸した場合、
賃料は同じ坪単価5000円とすると月間で400万円強、
年間は5000万円弱の削減ができるという。

全ての企業の課題となる物流コストをここまで下げることができるとは驚きだ。


大型物流施設は伸展が続く、ECの拠点としても大型物流施設は非常に有効だ。(次回に続く)

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